担ぎ込まれた時のやりとり

病院に担ぎ込まれた時、担架から当然移動させられるのだが、とにかく

「痛い!」

先の過去ログの診断を医師に知らさせる前に身体を動かされるのだが、骨折もさながら、脊損ショックで、まるで神経が肌から剥き出しになったように感じる程の激痛が。

「ほかの患者さんも居ますから、声出さないで!」

そう言われても、耐え難い痛み、やはり声は出る。

「声出さないで!いい加減にしなさい!」

そう言われても…。

医師とはこんなに冷たい者なのか?

為す術なく、最低限を心がけて動かせれるのに耐えた。

そしてMRI、診断。

「手術等の治療はしなくて良いです、安静とリハビリ、半年間は首にコルセットをして過ごさなければいけません。」

「上肢、下肢に反応はあります、可能性があるとしたら、もしかしたら立つことも出来るかも知れませんが、これからの回復はどうなるか分かりません」

終わった、何もかも。

間違いなく嫁さんも、こんな私を将来支えられないし、捨てられるだろう…。

「本当に済まない、今までありがとう。子供達を頼む、私は捨ててくれ。」

そう言おうと口を開こうとした時、

「一緒に治していこうね」

嫁さんは医療従事者。

この状態がどんな絶望感な未来であるか知りながらも、私を選んでくれた…。

「ありがとう、もし、もしも立てるようになったら、生まれ故郷に車で連れて行って欲しい、もう一度、あの町の空を、空気を、この身体で感じたいんだ」

嫁「わかった、今日から頑張ろう!」

そしてこの夜から、頸髄損傷との闘いが始まるのであった。

「個室にしますか?大部屋にしますか?」

全身痛くて、常に声が出るし、排泄の処理も周りに迷惑かけてしまう。

「個室、お願いします」

保険でも個室の代金は出して貰えないが、色々考えると、大部屋は避けたかった。

嫁さんも快諾してくれて、個室に運ばれた。

「電気、消さないでください、暗くなると、溝の中の恐怖を思い出してしまうから」

看護師「わかりました、でも休めるように、入口側の電気だけにして、ベッドは薄めにしておきましょうか?」

「それでお願いします」

嫁さん「それじゃ、またあしたくるね」

そう言って帰って行った。

「子供達、寝たかな?」

そう思いながら、入院生活がスタートした。

 

今夜はここまで、続きはまた…