安堵、そして…
「だいじょうぶですか?今助けます!」
二人の若い人が溝に降りてきて、私の頭を支えて容態を気遣ってくれた。
そして間もなく、その仲間と思われるスポーツカーの音が二台、次々と降りてきて、救急車に連絡してくれた、どうやらその仲間の合流を待って、低速で走行していたらしい。
「今救急車呼びました!頑張ってください!」
「タバコ吸いますか?」
「携帯ありますか?ご家族に連絡しましょうか?」
私「ありがとうございます、タバコは昔辞めました(笑)背中のポケットにスマホがあります、嫁さんに連絡をお願いします」
「この番号の、このお名前ですか?わかりました」
嫁さんに早速、電話で状況を説明してくれて
「奥さん、すぐ来てくれます、頑張って!」
枯葉の積もる溝の中、膝をついて頭を支えてくれる優しさ、その温かさに感謝が絶えない。
30分程経ったのだろうか?救急車のサイレンの音、彼等が誘導してくれて、停止する音が聞こえた。
同時にパトカーも到着。
狭い溝から担架で救出され、救急車の中へ。
その前に嫁さん到着。
「寒かったやろ?探しに来てあげなくて、ごめんな、ごめんな」
ボロボロ泣いて、手を握ってくれた。
「ごめん、本当にごめん、夕方言われた通り、出かけなければこんな事には」
救急車に乗せられ、警察から状況を聴かれる。
「車にぶつけられたのですか?」
私「いえ、単独で落車しました、すみません」
そして救急車は病院に連絡し、走り始めた。
「ああ、助かった」
安堵した。
嫁さんは救急車について病院へ。
間もなくして病院に到着して、集中治療室へ運ばれる。
医師に色々聞かれ、MRIへ。
狭い空間、閉所恐怖症の私だけど、安堵の気持ちで落ち着いて終わるのを待つ事ができた。
そして嫁さんを離れた場所へ連れていき、説明する声がする。
しばらくして私の元へ、医師と嫁さんがきた。
「○○さん、あなたは頚椎の棘突起、胸椎を骨折しています。」
ああ、とんでもない怪我したな、仕事もめいわくかけるな。
「○○さん、あなたはこの怪我で、頸髄損傷になりました。おそらくこれからは寝たきりの生活になると思います。これからの治療方針をお話します。」
詰んだ…まさか自分がこんな事に。
泣ける訳でもなく、絶望感に悲観するでもなく、
「どんな人生にこれからなるんだろうか?国から補助かなにかうけて、介護を受けられるのかな?」
等と考えていた。
今夜はここまで、続きはまた。