お風呂、リハビリ…

あれから長く経って記憶も曖昧で入院生活の中での出来事が前後する事もございます。

三週間ほど経って、転院も決まって、転院の日を心待ちにしながら過ごしていた。

今日は久しぶりの入浴、寝かされたまま台を移し替えられ入浴場へ。

そのままの状態で脱がせてもらい、お湯をかけて洗ってもらった。

看護師「○○さん、久しぶりだからきもちいいでしょー」

いやー、人生で三週間も風呂もシャワーもしない期間なんてなかったから、本当に気持ちよかった。

「ええ、気持ちいいです、ありがとうございます」

受傷時は勿論、絶対安静なので、落ち着くまでは風呂どころか、起こしてすら貰えない。

三週間ほどたまった垢は(失礼)、一度や二度擦っても落ちない。

時間をかけて洗ってもらって、サッパリして部屋に戻り、これまた4人がかりでベッドに乗せてもらう。

後のリハビリルームの移動の車椅子もこんな感じで乗せてもらう、当然自分では漕げない。

「○○さん、久しぶりに外の空気を吸いに行きませんか?」

待ってました!

嫁さんと娘が見舞いに来て、この日久しぶりに外に連れ出してもらったのだ。

嫁さん「お父さん、どう?久しぶりの外の景色は?」

私「寒いけど気持ちいいね、今日は良い天気でよかった」

既に11月も終わり近く、冬の空気が肌寒かったが、青い空が目に染みた。

病院の外まで連れ出してくれて、少し坂もあるのに私を車椅子でドライブに連れ出してくれた。

私「あ、あのロードバイク、GIANTかな?」

自転車で事故したのに、相変わらずロードバイクをみるとはしゃぎ出す。

私「あぁ、もう乗れないのか。サーヴェロ、やっぱり壊れた?」

嫁さん「私が見る限り、フレームもフォークも大丈夫そう、ホイールも振れてないし」

嫁さん「また乗れるんじゃない?」

どこかでその奇跡を願っていたが、事が事、有名な政治家も、同じように乗れなくなった。

今は自転車なんてどうでもいい、家に帰りたい、その気持ちだけだった。

そして部屋に戻り、リハビリルームへ。

寝台を起こす角度と、血圧低下に耐えられる時間も少しづつ伸びた。

ついに直立、高くて怖い(笑)

私「自分の身長のはずなのに、高くて怖いですね」

リハビリ「今度は車椅子から、手すりのある歩行スペースで、ちょっと立ってみましょう。」

この頃、脚が少し動くようになってた。

と言っても僅かなので自力で立てないし、歩けない。

でも、これは大きな進歩、二度と起き上がれない可能性が高かったのだから。

手すりが両脇にある歩行スペースで、リハビリの先生が私を抱えて

リハビリ「さあ、立ちましょう、私が支えてるので大丈夫です」

そしてついに、自分の足で地面を踏み、立ったのだ!

私「おお!自分の脚で、た、立ってる!」

喜びに浸る間もなく、血圧低下でブラックアウトしかける。

しばらく車椅子のリクライニングを寝かせて血圧が戻るのを待つ。

リハビリ「やりましたね!私も嬉しいです!きっとまた歩けますよ!」

僅かに、人の支えがないとままならないが、諦めていた、自分の脚で立つという、大きな奇跡が訪れた。

 

今夜はここまで、続きはまた