キレた…

リハビリ病院転院して初めての夜、隣りのお爺さんのイビキが異様にうるさかった。

前のお爺さんは夜中に寝言がデカくて、とても眠れたもんじゃない。

次の日早速、担当の方に報告、相談。

「隣の方のイビキと、前の方の寝言が酷くて眠れません。なんとかなりませんか?違う部屋に私が移動しても構わないので。」

担当「それはすみませんでした、隣の方は何とか理由を付けて部屋を変えてもらいますので。」

とりあえず隣の方は翌日、部屋を変えて貰えた。

この病室にお爺さん方が集まって、向かいの寝言お爺さんと

「あの人なんで部屋を変えられたのかねぇ」

とか長々と話し込んでた。

病室に集まり井戸端会議、オマケに禁止事項のお菓子をバリボリ。

この方達、糖尿病や高血圧あるのに、禁止事項以前に自分でヤバいと思わないのかな?

とりあえずイビキは移動してくれたし、なんとかなるかな?

その夜、向かいの寝言発動。

酷くでかい声で、延々と寝言が続く。

翌日も、その次の日も。

テレビをイヤホンで聴いていても寝言が酷くて眠れません。

何日目かの夜、何時もの寝言が始まった。

プツン←

「やかましいわ!ぼけ!ええかげんにさらせ!」

ついに長い入院生活からの疲れと、このリハビリ病院での様々な不満にブチ切れた!

静かになった。

すると向かいの寝言が車椅子で私のベッドにやって来て、

「なんちゅう口の利き方さらすんや!言い方もあるやろが!」

と、怒鳴り込んできた。

私ももはやリミッターが効かない。

「あぁ!?おどれの寝言がうるさくてたまらんのじゃ!それを毎日を聞かされて、我慢できるか!」

寝言ヒートアップ!

「このガキ!どつき回したる!」

私もファイティングモード、手は動かないが、かかってきたら鼻目掛けて頭突きのロックオン!

「はよこいや!こら!」

寝言が固まった。

その時、深夜の怒鳴り声に詰所から看護師たちが飛んできて、寝言を連れ出した。

看護師たち「〇〇さん、大丈夫ですか?」

私「あんたら、前の病院で面談したんだろうが、なんでこんな事知ってて言わんかったんや!」

後日知ったのだが、このリハビリ病院の面談はあまりにも簡素らしい。

患者の家族も入院出来ないと困るから、色々隠して面談を受けてるようだ。

後日、私が部屋を移動になった。

この部屋は静かで、最初からそうしろよ、と更にこの病室に不信感を持つようになった。

朝食、例によってホールで集められて食べる。

寝言が「あのクソガキ!あいつ許せん!」

とか、同じテーブルの爺さん方に長々とぶちまけてた。

うん、そのうち車椅子こかしてやろう♪

そう計画しながら、食事をとる。

この病院でまだ誰とも口を聞いたことは無い。

無言で食べ始めたその時、同じテーブルの隣の方が

「〇〇さん、昨日は大変やったなぁ、あのオッサン評判悪いねんわ、気にせんと言わしときや」

と、声を掛けてくれた。

「昨晩はお騒がせしてすみませんでした。」

隣の方「いやいや、ここではよくあるんやで、あのオッサン、ワシも嫌いやねん。」

初めて、この病院で話してくれたこの方、後に仲の良い関係になってくれた大切な人。

退院した今も忘れない。

そして、同じテーブルの方達が次々と話しかけてくれて、心が開けた。

同じ頸髄損傷の方達である。

天気の悪い日は

「痺れきついなー、今日もがんばろー」とか、

下のロビーの自動販売機の椅子で喋ったり、居心地が良くなり始めた。

リハ室に行く時や戻る時、はたまた一緒に行く時、喋りながらとか。

そして新しい部屋の夜、静かにイヤホンでテレビを楽しんだ。

 

今日はここまで、つづきはまた。